ソースコードの分割
今までのサンプルコードは、ひとつのソースファイルに全てのコードを記述していました。
短いプログラムならばそれで十分ですが、コードが長くなるとたくさんスクロールしなくてはならなくなり、読みにくくなります。
また、大規模なプログラムになると複数人で作業することが普通にあります。
複数人で作業といっても同じソースコードを同時に編集するのではなく、プログラムを機能ごとに分割し、それぞれが別々のソースコードを作成し、最後に合体させることでプログラムを作ります。
そのためにはソースコードを分割する必要があります。
このページではソースコードの分割方法を説明します。
ソースの分割方法
今回は以下のサンプルコードを複数のファイルに分割してみます。
コード中で定義されている関数は、C言語の標準関数であるrand
関数を少し使いやすくするための関数群です。
数学関数については数学関数を参照してください。
ランダム値については乱数(ランダム値)の生成を参照してください。
#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>
#include <time.h>
#include <math.h>
//プロトタイプ宣言
void Init();
int GetRandom(int);
int GetRandomRange(int, int);
double GetRandomDouble();
double GetRandomRangeDouble(double, double);
void Init()
{
//関数内のstatic変数は
//その関数からしかアクセスできない
//初期化しないと自動的に0で初期化される
static char isInit;
//この関数はプログラム中で一度しか呼び出しに意味を持たない
if(isInit != 0)
return;
isInit = 1;
srand((unsigned)time(NULL));
}
//0からmaxを含むランダム整数を返す
int GetRandom(int max)
{
Init();
if (max < 1)
return 0;
return rand() % (max + 1);
}
//minからmaxを含むランダム整数を返す
int GetRandomRange(int min, int max)
{
return GetRandom(abs(max - min)) + (min < max ? min : max);
}
//0から1未満のランダム小数を返す
double GetRandomDouble()
{
Init();
return (double)rand() / RAND_MAX;
}
//minからmax未満のランダム小数を返す
double GetRandomRangeDouble(double min, double max)
{
return GetRandomDouble() * fabs(max - min) + (min < max ? min : max);
}
int main()
{
//省略
}
ソースファイルの追加
ソースの分割のためには、新しいソースコードをプロジェクトに追加する必要があります。
追加の方法の詳細は基礎知識編のプロジェクトを作るを参考にしてください。
新しい項目の追加ダイアログでは「Visual C++」→「C++ファイル(cpp)」を選択して、名前を付けて「追加」をクリックします。
ファイル名は何でも構いませんが、ファイルの中身が分かるような名前にしましょう。
今回は「random.c」という名前にします。
ついでに、main関数を記述するほうのソースファイルの名称は「main.c」に変更しておきます。
(名前の変更はファイルを右クリック→「名前の変更」で可能)
Visual C++ではC言語とC++言語を混在させたソースを書けますが、ソースファイルの拡張子を「.c」とすると、C++の機能は使えなくなり、純粋なC言語として扱われます。
新しく作った「random.c」に、main以外の関数と関数のプロトタイプ宣言を移動させます。
rand
関数とtime
関数、数学関数の実行に必要なインクルードファイルの記述も移動させます。
(stdlib.h
、time.h
、math.h
)
//random.c
#include <stdlib.h>
#include <time.h>
#include <math.h>
//プロトタイプ宣言
void Init();
int GetRandom(int);
int GetRandomRange(int, int);
double GetRandomDouble();
double GetRandomRangeDouble(double, double);
void Init() { /*省略*/ }
//0からmaxを含むランダム整数を返す
int GetRandom(int max) { /*省略*/ }
//minからmaxを含むランダム整数を返す
int GetRandomRange(int min, int max) { /*省略*/ }
//0から1未満のランダム小数を返す
double GetRandomDouble() { /*省略*/ }
//minからmax未満のランダム小数を返す
double GetRandomRangeDouble(double min, double max) { /*省略*/ }
//main.c
#include <stdio.h>
int main()
{
//省略
}
このようにファイルが分割されます。
長くなるので関数の実装は省略しています。
この「random」ライブラリには「stdlib.h」「time.h」「math.h」もが含まれることになるので、「main.c」等の別のソースファイルからはこれらのヘッダファイルをインクルードしなくても、ヘッダファイル内の関数を利用可能になります。
しかし「main.c」からもこれらの標準関数を利用するなら、「main.c」にもインクルードを記述して構いません。
同じヘッダーファイルを二重にインクルードすることになりますが、標準関数などの大抵のライブラリは二重にインクルードしても大丈夫な作りになっています。
なお、「random.c」のほうでは標準入出力などは使用しないので、「stdio.h」のインクルードは必要ありません。
ヘッダファイルの追加
ソースコードを分割しただけではまだ不十分です。
「random.c」にどのような関数や変数があるのかを他のソースコードに伝えるためにヘッダファイル(ヘッダーファイル)というものを新しく作成します。
ヘッダファイルは「stdio.h」などと同じく、外部で定義されている関数や変数などの情報が記述されたファイルです。
関数を使う側はヘッダファイルをインクルードすることで、外部定義の関数の情報を知ることができるようになります。
ヘッダファイルの追加方法はソースファイルの追加方法とほぼ同じです。
異なるのは、ソリュージョンエクスプローラーから「ヘッダーファイル」の方を右クリックして追加する点と、新しい項目追加ダイアログで「ヘッダーファイル(.h)」を選択する点です。
名前は(拡張子以外は)ソースコードと同じにしておきます。
ヘッダファイルの拡張子は「.h」です。
つまり「random.c」のヘッダファイルなので「random.h」です。
さて、ヘッダーファイルには外部に公開したいものの情報を記述します。
具体的には関数のプロトタイプ宣言や構造体、マクロなどです。
今回は関数だけなので、公開すべき関数のプロトタイプ宣言だけを「random.c」から「random.h」に移動させます。
//random.h
//外部に公開する関数のプロトタイプ宣言
int GetRandom(int);
int GetRandomRange(int, int);
double GetRandomDouble();
double GetRandomRangeDouble(double, double);
//random.c
#include <stdlib.h>
#include <time.h>
#include <math.h>
//外部に公開しない関数のプロトタイプ宣言
//staticをつけておく
static void Init();
//関数の実際の定義自体はソースファイルに記述する
static void Init() { /*省略*/ }
//0からmaxを含むランダム整数を返す
int GetRandom(int max) { /*省略*/ }
//minからmaxを含むランダム整数を返す
int GetRandomRange(int min, int max) { /*省略*/ }
//0から1未満のランダム小数を返す
double GetRandomDouble() { /*省略*/ }
//minからmax未満のランダム小数を返す
double GetRandomRangeDouble(double min, double max) { /*省略*/ }
//main.c
#include <stdio.h>
int main() { /*省略*/ }
関数Init
はrandom.cの関数群から以外はアクセスされることのない関数です。
このような外部に公開する必要のない関数にはstatic
修飾子をつけ、プロトタイプ宣言はヘッダファイルでは行わずソースファイル内で行います。
static
が付けられた関数やグローバル変数はそのファイル内からのみアクセスが可能になります。
staticの項では、関数内で宣言したstatic変数について説明しました。
関数内で宣言される変数にstatic
を付けると、「その関数内からのみアクセス可能」かつ「静的領域に保存される(プログラムの開始から終了まで生存する)」という変数になります。
これと同じことで、関数の外にあるもの(つまり関数やグローバル変数)にstatic
を付けると、アクセス可能な範囲が「そのファイル内」に限定されることになります。
(寿命はもともと「プログラムの開始から終了まで」なので変わりません)
static変数やstatic関数は外部に公開されないので、「Init」などというよく使われそうな名前を付けても名前の衝突が起こることはありません。
インクルードガード
この作成したヘッダファイルをソースコードにインクルードするのですが、まだ完成ではありません。
#include
は「その場所に指定のファイルの内容をすべて展開する」という意味になります。
なので、インクルードしたファイル内の関数などが使えるわけです。
//test.h
#include <stdio.h>
void Test() { printf("test"); }
//main.c
#include "test.h" //test.hをインクルード
int main()
{
Test(); //test.h内で定義した関数が使える
}
上のサンプルコードは、以下のコードに展開されてからコンパイルが行われます。
//main.c
//test.h展開ここから
#include <stdio.h>
void Test() { printf("test"); }
//test.h展開ここまで
int main()
{
Test();
}
C言語では、関数などを再定義してはならないというルールがあります。
(単一定義規則という。宣言は何度してもOK)
先ほど作成した「random.h」は、ひとつのソースファイルからのみインクルードするのであれば問題は起こりません。
しかしプログラムの規模が大きくなってくるとソースファイルを複数に分割することになり、いろいろなファイルから同じライブラリをインクルードして使用することがあります。
そうすると、複数のソースファイル上で同じ関数の定義が複数回あらわれることになり、多重定義になってしまいます。
そのため、複数のソースからインクルードしても問題が発生しないようにする必要があります。
これをインクルードガードといいます。
最も簡単な方法は、ヘッダファイルの先頭に#pragma once
を記述する方法です。
#pragma once
//random.h
int GetRandom(int);
int GetRandomRange(int, int);
double GetRandomDouble();
double GetRandomRangeDouble(double, double);
これだけで、このヘッダファイルは二重に読み込まれることはなくなります。
VC++でヘッダファイルを追加すると自動的に先頭#pragma once
が記述されていると思います。
#pragma once
はC言語標準の機能ではありませんが、多くのコンパイラでサポートされているので、大抵は問題なく使用できます。
その他、#define
と#ifdef
、#ifndef
を利用してインクルード済みか否かを判断する方法があります。
//random.h
#ifndef INCLUDED_RANDOM_H
#define INCLUDED_RANDOM_H
int GetRandom(int);
int GetRandomRange(int, int);
double GetRandomDouble();
double GetRandomRangeDouble(double, double);
#endif
#ifndef
は、指定の値がdefineされていなければ#endif
までの処理を行います。
(if not define)
#ifdef
はその逆です。
これらも#define
と同じくプリプロセッサなので、コンパイル前に処理されます。
つまりINCLUDED_RANDOM_H
というマクロが存在しなければINCLUDED_RANDOM_H
を定義し、ヘッダファイル内の処理を行います。
このヘッダファイルが再度読み込まれたときにはINCLUDED_RANDOM_H
がすでに定義されているので、ヘッダファイルの処理はスキップされます。
(正確には、#endif
まで処理をスキップします)
この方法によるインクルードガードは、マクロ名が他と重複しないように気を付ける必要があります。
特にアンダースコア(_)から始まるマクロ名はC++では予約済となっているため使用は避けたほうが良いです。
この「random.h」の中身は関数のプロトタイプ宣言しかないので、実は二重にインクルードしても問題は起こりません。
プロトタイプ宣言は「定義」ではなく「宣言」なので、多重定義にはならないのです。
ソースコード上に同じ関数名のプロトタイプ宣言を重複させても問題なくコンパイルは通ります。
作成したヘッダファイルのインクルード
最後に、先ほど作成したヘッダファイルを「main.c」からインクルードします。
//main.c
#include <stdio.h>
#include "random.h"
int main() { /*省略*/ }
これで「random.h」が「main.c」に読み込まれ、「random.h」に記述されている関数や変数などにアクセスができるようになります。
「stdio.h」などのC言語標準ライブラリのインクルードの場合はヘッダファイル名を<>
で囲いますが、自作したヘッダファイルをインクルードする場合には""
で囲います。
<>
記号は、コンパイラが指定するフォルダ内にあるヘッダファイルを指定する場合に使用します。
(コンパイラの設定で別のフォルダを追加することもできます)
""
記号は、ソースファイルからの相対位置でヘッダファイルを指定する場合に使用します。
仮にヘッダファイルが見つからなかった場合はコンパイラが指定するフォルダ内を検索します。
そこでも見つからなければコンパイルエラーになります。
ちょっとややこしいかもしれませんが、「自作のヘッダファイルの場合はダブルクォーテーション」という認識で問題ありません。
ソースファイルとヘッダファイルが同じフォルダ内に存在しない場合はパスを指定する必要があります。
//ソースファイルと同じ場所の「abc」フォルダ内
//├ source.c
//└ abc
// └ header.h
#include "abc/header.h"
//ソースファイルのひとつ上のフォルダ内
//├ header.h
//└ xxx
// └ source.c
#include "../header.h"
//ソースファイルのひとつ上の「abc」フォルダ内
//├ xxx
//│ └ source.c
//└ abc
// └ header.h
#include "../abc/header.h"
//絶対パスも可能だがおすすめしない
グローバル変数の扱い
グローバル変数は、そのプログラム中のどこからでもアクセスできる変数です。
ソースファイルを分割していてもすべてのソースファイルからアクセス可能ですが、少し注意点があります。
複数のソースファイルのどこにでもグローバル変数は記述できますが、名前の重複に気を付ける必要があります。
//test.c
int global;
//main.c
int global;
上のサンプルコードの場合は、どちらのファイルからも問題なくアクセスすることは可能です。
しかし以下のようにするとエラーになります。
//test.c
int global = 1;
//main.c
int global = 1;
同じことをしているので問題ないように見えますが、C言語では二重宣言は許されていますが二重定義は許されていません。
「変数globalは1である」という「定義」は一回しか行えません。
グローバル変数はプログラム中で共通して使用されるもので、どこかにひとつだけ「実体」が存在します。
「実体」が外部ファイルに存在することを示すにはextern
修飾子を使用します。
//test.c
//変数globalの実体
int global = 1;
//main.c
//test.cにある変数globalにアクセスする
extern int global;
extern
が付けられた変数は、そのソースファイル中には実体は存在せず外部ファイルにある、という意味になります。
実はデフォルトではグローバル変数はextern
が付けられているものとみなされます。
なので省略は可能なのですが、外部変数であることを明確にするためには付けたほうが良いでしょう。
同じく関数もデフォルトでextern
が付けられているものとみなされます。
全てのファイルでextern
を付けると、実体が存在しないことになりエラーになります。
//test.c
extern int global;
//main.c
extern int global;
ただし、extern
を付けていても初期化を行うと実体を定義したことになり、以下のような場合はエラーになりません。
(ややこしいのでお勧めしませんが)
//test.c
extern int global = 1;
//main.c
extern int global;
関数内のローカル変数はもともと関数外からは見えないので、外部ファイルの事は気にする必要はありません。
ヘッダファイルにexternを記述
上の例ではソースファイル(.cファイル)にextern
宣言を記述していましたが、通常はどこかひとつのソースファイルに実体を記述し、そのヘッダファイルにextern
宣言を記述しておきます。
//test.h
extern int global;
//test.c
//変数globalの実体
int global = 1;
//main.c
#include <stdio.h>
#include "test.h"
int main()
{
printf("%d", global);
}
「main.c」ファイルにはextern
の記述がありませんが、「test.h」をインクルードしており、そこに変数globalのextern
宣言が記述されているのでアクセスが可能となります。
グローバルなstatic変数
グローバル変数にstatic
を付けるとそのファイル内からのみアクセスが可能な変数となります。
上で説明したstatic関数と同じことです。
//test.c
//test.c内からのみアクセスできる変数
static int global = 1;
void something()
{
//アクセス可能
global = 2;
}
//main.c
//test.cとは別の変数とみなされる
int global;
//externをつけてもダメ
extern int global;
この変数は静的グローバル変数と呼ばれます。
staticは「宣言された領域外からはアクセス不可にする(内側からは可能)」「寿命をプログラムの開始から終了までにする」と覚えておきましょう。
ファイル分割を利用したライブラリの例
最後に、ファイル分割を利用したrandomライブラリの例を注釈付きで掲載しておきます。
//main.c
#include <stdio.h>
//random.hをインクルード
#include "random.h"
//stdlib.hやtime.hなどのインクルードは必要ない
int main()
{
//非公開関数にはアクセスできない
//Init();
//外部関数を使用する
printf("GetRandom(5)\n");
for (int i = 0; i < 10; i++)
printf("%d\n", GetRandom(5));
printf("\nGetRandomRange(-100, 0)\n");
for (int i = 0; i < 10; i++)
printf("%d\n", GetRandomRange(-100, 0));
printf("\nGetRandomDouble()\n");
for (int i = 0; i < 10; i++)
printf("%f\n", GetRandomDouble());
printf("\nGetRandomRangeDouble(-1.0, -3.0)\n");
for (int i = 0; i < 10; i++)
printf("%f\n", GetRandomRangeDouble(-1.0, -3.0));
//外部変数にアクセスしてみる
printf("\npublicValue: %d\n", publicValue);
publicValue = 10;
printf("GetPublicValue(): %d\n", GetPublicValue());
//外部関数を通して非公開変数にアクセス
SetPrivateValue(20);
printf("GetPrivateValue(): %d\n", GetPrivateValue());
getchar();
}
//random.c
/*
C言語のrand関数をラップするライブラリのサンプル
*/
#include <stdlib.h>
#include <time.h>
#include <math.h>
//statcを付けた変数、関数は
//random.c以外からは見えない
//非公開関数のプロトタイプ宣言
static void Init();
//非公開変数
//このライブラリには必要ないが
//説明のために記述
static int privateValue;
//公開変数
//これもライブラリには必要なし
int publicValue;
//非公開関数
//乱数の初期化処理
//static変数を利用して一度だけ初期化されるようにしている
void Init()
{
static char isInit;
if(isInit != 0)
return;
isInit = 1;
srand((unsigned)time(NULL));
}
//以降は公開関数
//他の関数との名前被りには気を付ける
//0からmaxを含むランダム整数を返す
int GetRandom(int max)
{
Init();
if (max < 1)
return 0;
return rand() % (max + 1);
}
//minからmaxを含むランダム整数を返す
int GetRandomRange(int min, int max)
{
return GetRandom(abs(max - min)) + (min < max ? min : max);
}
//0から1未満のランダム小数を返す
double GetRandomDouble()
{
Init();
return (double)rand() / RAND_MAX;
}
//minからmax未満のランダム小数を返す
double GetRandomRangeDouble(double min, double max)
{
return GetRandomDouble() * fabs(max - min) + (min < max ? min : max);
}
//これ以降はrandomライブラリには必要ないが
//説明のために記述した公開関数
//公開変数を取得
//関数を通さずに直接公開変数にアクセスも可能
int GetPublicValue()
{
return publicValue;
}
//非公開変数を取得
int GetPrivateValue()
{
return privateValue;
}
//非公開変数に値をセット
void SetPrivateValue(int n)
{
privateValue = n;
}
//random.h
#pragma once
//公開する関数のプロトタイプ宣言
//公開しない関数のプロトタイプ宣言は
//ソースファイルのほうに記述する
//Visual Studioでは
//関数の前に関数の説明をコメントで書くと
//呼び出し側からコメントが読める
//プロトタイプ宣言に引数名まで記述すると
//呼び出し側から引数名も参照できるので
//引数指定が分かりやすくなる
//0からmaxを含むランダム整数を返す
int GetRandom(int max);
//minからmaxを含むランダム整数を返す
int GetRandomRange(int min, int max);
//0から1未満のランダム小数を返す
double GetRandomDouble();
//minからmax未満のランダム小数を返す
double GetRandomRangeDouble(double min, double max);
//公開変数を取得
//関数を通さずに直接公開変数にアクセスも可能
int GetPublicValue();
//非公開変数を取得
int GetPrivateValue();
//非公開変数に値をセット
void SetPrivateValue(int x);
//外部変数の宣言
//ライブラリ利用側に外部変数の存在を明示する
extern int publicValue;
//※
//コンパイラによってはエラーになるので
//ヘッダファイルやソースファイルの
//末尾は必ず改行で終わるようにする
Visual Studioでは関数のプロトタイプ宣言の前にコメントを書くと、関数の利用側からそのコメントを読めるようになります。
また、プロトタイプ宣言の引数にデータ型だけでなく引数名も記述しておくと、関数呼び出し側から引数名が参照できるようになり、引数の意味が分かりやすくなります。
コンパイルはソースファイル単位で行われるため、例えば「main.c」を修正しても「random.c」の再コンパイルは行われません。
ソースファイルの規模が大きくなってくるとコンパイルもそこそこ時間のかかる作業になるので、独立性の高い機能は別ファイルに分割しておくと時間の短縮にもなります。
gccでの分割ソースコードのコンパイル例
ここではgccを用いて分割したソースコードのコンパイル例を示しておきます。
VisualStudioなどはボタンひとつで開発環境がコンパイルとリンクの作業を行ってくれますが、コンパイラにソースファイルを直接指定してコンパイルする場合はリンク作業も自分で行う必要があります。
ソースファイルの分割やヘッダファイルの作成は上記の手順通りで問題ありません。
ここでは上記と同じ「main.c」「random.c」「random.h」の三つのファイルを用意します。
ファイルの追加は新規テキストファイルを手動で追加し、名前を適切に変更するだけです。
ソースファイルとヘッダーファイルは同じ場所に配置しても構いませんし、フォルダで分けたほうが良いならばそのようにしてください。
gccでのコンパイルはソースファイルの指定を一つ増やすだけです。
例えばまとめてコンパイルして実行ファイルを生成する場合は
$ gcc -o test main.c random.c
とします。
先頭の「$」はコマンド入力であることを示すもので、実際に入力する必要はありません。
-oオプションは指定したファイル名でファイルを出力します。
上記のようにすれば二つのソースファイルから「test」という実行ファイルを生成します。
ヘッダファイルの指定は必要ありません。
(カレントディレクトリからのファイルへのパスは適切に設定してください)
しかし一括コンパイルはすべてのソースファイルをコンパイルするので、変更していないファイルもコンパイルされるため時間がかかります。
-cオプションでコンパイルすると実行ファイルではなくオブジェクトファイル(○○.o)が生成されます。
$ gcc -c main.c
$ gcc -c random.c
//一括してオブジェクトファイルを生成
$ gcc -c main.c random.c
修正が発生したソースファイルだけコンパイルし直せば時間の短縮になります。
-cオプションでのコンパイルは実行ファイルではなくオブジェクトファイルを生成します。
プログラムは複数のオブジェクトファイルを結合し、実行ファイルを生成します。
オブジェクトファイルから実行ファイルを生成する場合も-oオプションでオブジェクトファイルを(必要ならば複数個)指定します。
$ gcc -o test main.o random.o
今回は必要ありませんが、math.h内の関数を使用する場合は実行ファイル生成時に-lmオプションを付けます。
$ gcc -o test main.o random.o -lm
こういった指定は毎回行うのは面倒なので、makefileを作成するのが一般的です。
ソースファイルなどと同じ場所に、以下の内容で「makefile」という名前で保存します。
test: main.o random.o
gcc -o test main.o random.o
main.o: main.c
gcc -c main.c
random.o: random.c
gcc -c random.c
2、4、6行目の先頭の空白は空白文字ではなくタブ文字で記述します。
そして「make」コマンドを実行すれば「test」という実行ファイルが作成されます。
$ make
makefileの書き方はいろいろありC言語の話からは外れるので、興味がある人は調べてみてください。